2014年1月30日木曜日

深緑野分『オーブランの少女』

深緑野分『オーブランの少女』(東京創元社◎ミステリ・フロンティア/2013)

草花茂る美しい庭園とそこで暮らす不完全な少女たち。そこに潜む巨大な怪物と美しき狂気。

――それよりもこの日記が事実なら、あの下らない噂――オーブランの肥沃な土壌は少女の生き血を啜ったからなどという低俗なものや、この庭の本当の名前はオーブランなんて洒落た名前でなく、もっと味気ないありきたりなものだった――などを蒸し返し、オーブランの歴史を、この町の忌まわしき記憶を再び呼び覚ましてしまうのではないかと、私は危惧している。

2014年1月16日木曜日

殊能将之『ハサミ男』

殊能将之『ハサミ男』(講談社文庫/2002年)
(講談社ノベルス版は1999年刊行)

探偵役は自殺願望のある殺人鬼。巧みな描写と博識な雑学が光る第13回メフィスト賞ミステリ。

――ハサミ男は残虐な殺人鬼であり、殺された少女は無垢な存在でなければならなかった。

2013年12月29日日曜日

野﨑まど『know』

野﨑まど『know』(ハヤカワ文庫JA・2013)

それを知れば世界が変わる――森羅万象を知っていた彼女が知りたかった=誰も知らない唯一のこと。

――《知る》と《生きる》は同じ現象ですよ。

2013年12月11日水曜日

ジョージ・オーウェル『一九八四年』 (George Orwell/1984)

ジョージ・オーウェル『一九八四年』(ハヤカワ文庫/2009[新訳]・訳:高橋和久)
原題『1984 Nineteen Eighty-Four』(1949・英)

オーウェルが半世紀以上前に描いた超監視社会は、いまや現実のものとなっている。

――自由とは、2足す2は4だと言える自由だ。それが認められるなら、他のこともすべて認められる。
(Freedom is the freedom to say that two plus two make four. If that is granted, all else follows.)

2013年12月4日水曜日

貴志祐介『新世界より』

貴志祐介『新世界より』(講談社文庫/2011)
(単行本は2008年、講談社ノベルス版は2009年に刊行)

世界の真実を知りたいという幼少期のあどけない好奇心。それが悲劇と惨劇の引き金となった。

――もちろんそれは、わたしたちの思考そのものが、巧妙に誘導、管理されていた証なのだが。

2013年11月12日火曜日

綾辻行人『十角館の殺人』


綾辻行人『十角館の殺人〈新装改訂版〉』(講談社文庫/2007年)
(講談社ノベルス版『十角館の殺人』は1987年)

新本格の始まり。国内ミステリの歴史は「十角館」を境に二分される

――ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうがやっぱりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒なトリック……絵空事で大いにけっこう。要はその世界の中で楽しめればいいのさ。

2013年11月8日金曜日

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』 (Ray Bradbury/Fahrenheit 451)

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』(ハヤカワ文庫/2008年[新装版]・訳:宇野利泰)
原題『Fahrenheit 451』(1953)

本が禁止された世界で本の魅力を知ってしまった焚書官(ファイアマン)の物語。

――火の色は愉しかった。(It was a pleasure to burn.)